経済回復への道 <こんにちは!JETROです>
プノン読者の皆様、ご無沙汰しております! 日本貿易振興機構(ジェトロ)プノンペン事務所の春田です。私は着任してから約1年が経過しますが、そのほとんどの期間をコロナ禍とともに過ごしてきました。10月後半あたりから、フンセン首相の演説などからニューノーマルに向けた動きが加速しているように見受けられ、いよいよビジネスや観光での移動が活発になってくれるといいなと思っているところです。
さて、そんな中、カンボジアでは、新投資法の施行をはじめとして、経済回復に向けた準備を着々と進めております。そのうちのいくつかを紹介いたします。
●新投資法
新投資法は、2021年10月15日施行され、1994年法および2003年改正法で定められていた投資法の改正となります。同法には、カンボジアへの投資誘致拡大を視野に、カンボジア経済の主軸として期待する分野・業種や、税制優遇の適用範囲および選択肢の拡大、投資家や投資資産の保護などが明記されています。
優遇措置の適用分野を18分野・業種とし、それ以外に政府が社会経済的発展のための可能性があると判断する分野も含むこととしています。税制優遇期間がこれまでの最大9年間から、さらに6年間延長される等、インセンティブが拡大されています(10月21日付ジェトロビジネス短信)。
●国内の調達を促す商品データベースを構築(SD2)
2020年度ジェトロ日系企業実態調査によると、カンボジアの現地調達率が約5%と、ASEAN域内で最も低い割合となっています。カンボジア政府としては、国内で調達ができる商品を見える化し、国内調達が可能な商品を持つ企業のデータベースを作り、Supplier Database with Sustainability Dimensions(SD2)利用を促進する考えです。
●企業内で人材育成にかかる費用の助成(SDF)
カンボジアでは、これまで進出企業の間で人材育成が課題としてあげられることが多くありました。政府も同様に課題を認識しており、この度、民間企業で行われるカンボジア人従業員等に対する人材育成にかかった費用の最大半額を政府が助成する「能力開発基金(Skills Development Fund:SDF)」を開始しています。
このほかにも国有地の有効活用を促進するための策を検討するなど、カンボジア政府はコロナ後を見据え、企業誘致を歓迎する姿勢を見せており、積極的に策を講じています。コロナ終息後の発展が加速することに期待したいところです。
<筆者紹介>
日本貿易振興機構(ジェトロ)
プノンペン事務所 所長
春田麻里沙
ジェトロ プノンペン事務所
ADD: Vattanac Capital Lifestyle Cube, Level 6, Suite 0609
No. 66, Preah Monivong Blvd., Sangkrat Wat Phnom, Khan Daun Penh, Phnom Penh, Cambodai
TEL: +855 23 966 253
Email: CPH@jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/jetro/overseas/kh_phnompenh/
<参考ウェブサイト>
●ビジネス短信
https://www.jetro.go.jp/biznewstop/asia/kh/biznews/
ジェトロのネットワークを通じて収集したカンボジアのビジネスニュース (政治・経済動向、制度情報、統計など)をウェブサイトに迅速に掲載します。
●地域・分析レポート
https://www.jetro.go.jp/areareportstop/asia/kh/areareports/
カンボジアのビジネス・経済などに関して、解説・分析を交えて報告します。
●アジア各国の新型コロナウイルス感染症にかかる概況
https://www.jetro.go.jp/world/covid-19/asia/
世界各国の感染拡大に伴う移動制限や経済への影響、政府等による経済対策、事業者支援策を地域ごとに報告します。
●最新版カンボジア経済特区(SEZ)マップ
https://www.jetro.go.jp/ext_images/world/asia/kh/pdf/sezmap202104.pdf
カンボジア国内のSEZ一覧や、主要SEZの詳細情報を日本語、英語で掲載しております。
●その他カンボジアに関する情報
https://www.jetro.go.jp/world/asia/kh/
輸出入に関する制度や日本からの進出に関する制度等、カンボジアに関する情報を掲載しています。
●日系企業実態調査ご協力の御礼
https://www.jetro.go.jp/world/business_environment/genchihoujin.html
今年も日系企業実態調査のご協力、誠にありがとうございました。皆様からいただいた回答を基に、カンボジアにおける日系企業様の状況分析はもちろんのこと新型コロナウイルスによる影響、またASEAN地域の状況を比較し、分析レポートを作成いたします。分析レポートは上記URLに掲載予定ですので、ご確認いただけますと幸いです。