「ラッダイト運動」に参加しないために<日本語の教室から>

「ラッダイト運動」に参加しないために


 「ラッダイト運動」という言葉をご存じでしょうか。

 産業革命で進んだ機械化により失業の危険にさらされた職人や労働者たちが、工業機械を破壊して回った運動のことです。中学校の社会の教科書に載せられたその絵を覚えている人もいるのではないでしょうか。科学技術の進歩は社会の構造を変えます。進歩という言葉には肯定的なニュアンスがありますが、その陰で仕事をなくす人もいるわけですから、個人レベルでは手放しで喜べないこともあります。


 この「ラッダイト運動」は「社会の教科書に出てくる昔の話」ではありません。日本語教育の分野でもこれに似た状況は起きつつあります。


 以前は日本語を勉強しようと思ったら学校に通わなければなりませんでしたが、今では独学をする環境が整っています。実際に、Duolingoという世界最大の言語プラットフォームを利用して日本語を学習する人は1200万人(2020年)を超えるというデータが出ています。この数字は海外の学校や教室で日本語を学ぶ人385万人(2018年度海外日本語教育機関調査より)に比べても遥かに大きなものであることがわかります(これらの数字はあくまでも参考値です)。


 外国語学習にはこれからもどんどん機械的なものが取り入れられていくことでしょう。それによって働き方を変えざるを得ない日本語教師が出てくることも予想されます。しかし、いくらAI化や機械化が進んでも、教師が完全に不要になるということはないでしょう。ただ教師に求められる能力が以前と比べ変わってくる(変わってきている)ことは確かです。


 これからの日本語教師が身につけるべき能力の一つとしてよく言われるのが「コーチング」です。


 コーチングは「相手の目標達成・自己実現を支援するためのコミュニケーションの技術」という説明がなされます。日本語教育の現場においては、学習者に適切な学習プランを提示し、性格や特性に応じた叱咤激励をしつつ、最終的な目標達成を手助けする伴走者としての技術と考えられます。学習リソースが豊富になっている今、AIではなく、人間の教師にはこういった「学習を管理する能力」が求められていると考えられます(もちろんその他にも求められる素養・能力はたくさんあります)。


 CJCCでは先日、コーチングの専門家を招聘しワークショップを開きました。ワークショップにはカンボジア内外から52名の方々が参加しました。コーチングという言葉を初めて聞く方もいらっしゃいましたし、事後のアンケート結果からも有意義なワークショップだったことがわかります。

 

時代の移り変わりにより、働き方や求められる能力は変わります。かと言って、世界中にあるスマートフォンやパソコンを壊したり、電線を切断して回るわけにはいきません。過去に得たスキルを大事にしつつ、さらに新たな能力を開発していくことでしか未来は開けません。


 これからもCJCCでは時代に応じた適切なテーマでセミナーやワークショップを開催していきます。日本語教師の方も、他業種の方もみなさんぜひ参加していただければと思います。


 カンボジアの日本語教育に関する情報共有は以下のFacebookグループがもっとも活発です。誰でもメンバーになれますので、ぜひ覗いてみてください。


カンボジア・日本語教育 https://www.facebook.com/groups/jpakhm


<筆者紹介>

佐久間司郎(さくま しろう)

国際交流基金派遣日本語専門家(CJCC) 2019年3月より現職。神戸市出身。






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