オノコミ流 ちょっと道案内②
第2回 副業をどう考える?
いつの世も、仕事や人生の悩みの種は尽きないもの。働くこと、人付き合い、自分探し……。様々な「お悩み」について、企業風土の育成に取り組んでいる小野田コミュニケーションデザイン事務所(オノコミ、横浜市)の梶原温美さんに、ご自身の歩み、経験を踏まえてちょっと道案内をしていただきます。(プノンネット編集部)
Q 40代の男性です。勤めている会社が「副業OK」を打ち出しました。時流に乗ってみたいとも思うのですが、安定志向も強くどうしたものか考え中です。副業が向いている人、向いていない人ってあるのでしょうか。

A. 日本では、コロナがこれほどまでに猛威を振るう前の2019年4月に、労働人口が加速度的に減少することを踏まえて、1億総活躍社会実現を目論んだ「働き方改革」という施策がスタートしました。それに加えて、コロナとの共生に終わりが見えず、厳しい経営実態に直面したことで、副業を認める企業が増えてきています。
今やIT系企業、機械・消費財・自動車メーカー、金融業界など、業種業態、企業規模も関係なく、副業を認めるという雇用の変化のうねりは大きくなってきていて、今後も益々多くの企業へと拡がっていくと思われます。
当初は、副業を解禁することによる本業のノウハウや情報の漏洩、会社へのロイヤリティの低下等、本業へのマイナスの影響を懸念していた声がありましたが、今ではほとんど聞かれなくなりました。明らかに日本の経済界での副業への価値観が変わってきていますね。
さて、今回は、会社が副業を認めるようになり、興味はあるが自身が始めることに不安を感じているという悩みごとです。
40代男性ということで、ご家族もいらっしゃるでしょうか。さらには、社会人になって以来、個人事業主になる等のご経験はなく、おそらく順調にここまで来られたのだと思いますから、ご不安を持たれることでしょう。
私は50歳の時に会社員一本の働き方に区切りをつけ、会社に属しながらフリーランスでも仕事をするという働き方をスタートしました。
40代も半ばに入った頃でしょうか。仕事上で、自分がどんなことが得意で、どんなことが不得意かを自覚しました。そして、仕事は好きでしたが、会社にいれば得意なことや、やりたいことだけをやれるわけではなく、不得意なことにも成果を求められる日常に疲れたのだと思います。私は会社で人事の仕事をしていましたが、半年に1度の人事評価の時には、「こんな自分がメンバーの評価をする資格などあるのかしら」とすら感じていたものです。
人事の仕事をしていながら、しかも人のキャリアプラン作りの伴走者としての勉強もしていた身でありながら、自分自身は人事評価という制度に嫌悪感すら覚えていたほどです。今だから言える大変お恥ずかしい話です。
その後、50歳を目前にした頃に父が大病を患ったことで、人が授かった時間は有限であることを実感し、自分の時間はできるだけやりたいことに多く使うことが幸せなんだと、本当の意味で腹落ちしました。そして当時お世話になっていた会社を退職し、現在に至ります。幸いにも今は、会社での仕事も、フリーランスとしての仕事も、お客様に期待以上の価値を提供しようと、健全なプレッシャーを感じながらやりたいことをやっている実感を持てています。
今回の「副業をしようかどうか迷っている」というお悩みごとにお話を戻しますね。
副業はその名が表す通り、本業を手放す選択をしなければいけないものではなく、本業は維持した上での「サブ」の仕事です。これまで当たり前の様に続いていたお給料をいただく生活を手放せと言われているわけではありません。だから不安に思う必要はないですし、これから先、今の会社とのご縁が無くなるようなことがあった時や、会社員という働き方に区切りをつけたいという気持ちが抑えられなくなった時、そして私と同じ様に自分の時間をより大切にしたい感覚が芽生えた時に、副業の経験は自分の背中を押す一つのアイテムになります。興味があるのでしたら、ぜひ試してみましょう。
ところで、
「副業にチャレンジしてみようかな」と思った時に、どんな種類の仕事を選ぶか、は副業に何を求めるかによって違うように思います。
・好きなことをやってみたい(趣味の世界など)
・得意なことをやってみたい
・以前から興味があったことをやってみたい
・お金をできるだけたくさん稼げることをやってみたい
・将来、独立することも踏まえて足掛かりとしてやってみたい
などが考えられますね。まずは、副業することでどんな世界が拡がるのかにじっくりと思いを巡らせたうえで仕事選びに移ってみましょう。
最後に、副業するときの留意点を3つお伝えしておきますね。
1つ目は、「本業にマイナスの影響を与えないようにすること」
2つ目は、「最初から欲張らず、まずはスモールスタート」
そして最後は、「副業は目的ではなく手段であることを踏まえておくこと」
初めていただく報酬には、毎月決まった日に会社からいただくお給料とは異なる感覚を覚えることでしょう。
さて、そのお金、何に遣いますか?

梶原温美 Kajihara Harumi
1987年より2016年までメーカー(日系・外資系)、コンサルティングファーム、ベンチャー企業で主に人事職として働く。2016年より株式会社小野田コミュニケーションデザイン事務所に加入、同時期に、障がい者雇用を企業側から支援する事業を開始。横浜在住歴20年超。「横浜は古さと新さの両方が違和感なく共存しているところが好き。現職の事業でカンボジアをたびたび訪れて大好きになりました!」

小野田コミュニケーションデザイン事務所
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