オノコミ流 ちょっと道案内③お手伝いしましょうか? 

第3回 障がいを持つ人とどう向き合う?

 

いつの世も、仕事や人生の悩みの種は尽きないもの。働くこと、人付き合い、自分探し……。様々な「お悩み」について、企業風土の育成に取り組んでいる小野田コミュニケーションデザイン事務所(オノコミ、横浜市)の梶原温美さんに、ご自身の歩み、経験を踏まえてちょっと道案内をしていただきます。(プノンネット編集部)


Q 私の職場に、障がいのある人がいます。つい、かわいそう、と思ったり、助けてあげなきゃ、みたいな上から目線の気持ちになります。といっても、電車や道路で障がい者を見ても、つい遠巻きにして、見て見ぬふりをして手を貸す勇気が出ません。自分の中に偏見があることを感じます。どうしたら、障がいのある人たちへの偏見をなくし、同じ目線で助け合ったり、一緒に仕事をしたりすることができますか。


A. 東京2020パラリンピックは、オリンピックの後、8月24日から約2週間に亘って行われました。早いもので、もう3カ月以上も前のことです。カンボジアでは「オリパラ」はどのくらい放映されましたか? カンボジアからは陸上競技に車いすの男子選手が一人出場されたようですね。パラリンピック大会では、水泳や柔道など健常者と同じ種目もありますが、ボッチャといった障がい者スポーツならではの種目もあり、新鮮な気持ちで観戦することができました。


「便利」を通り越して、無くても困らないものやサービスがあふれている、と感じる毎日ですが、障がいを持つ方々にとっては、日常生活にも様々な制約があることでしょう。そんな中、スポーツで高みを目指し、努力を重ねているアスリートの姿には、驚くと同時に心を動かされました。


私は、企業内の人事や社外パートナーとして、障がいを持つ人が「働く楽しさ」を実感しながら企業で事業に貢献することの背中押しをしています。今回のお悩みの本題に入る前に、障がいを持つ人が働くということについてお話しさせてください。


日本では、「障害者雇用促進法」に基づき、国や地方公共団体、企業は、全従業員のうち一定の割合で障がいを持つ人を雇用する義務があります。これにより、障がい者の雇用が促され、障がいを持つ人と共に働くことが身近になってきています。それと同時に、障がいを持つ人への仕事の任せ方や配慮の仕方、そしてコミュニケーションの取り方等について、不安や課題を感じるという声も増えてきています。


「ところ変われば価値観も変わる」。このことを「障がい」ということに当てはめたときに、真っ先に頭に浮かぶのは、福祉国家として有名なスウェーデンの施策です。この国には、「サムハル(Samhall、1980年設立)」という国営企業があり、製造業分野、サービス業分野、労働者派遣事業分野の3分野で事業を展開しています。従業員数は2万人、そのうち90%が障がい者、そして売り上げは年1000億円以上(国からの補助金含む)で、営業利益率は7%という実績です。これは障がい者雇用の促進を目指す企業にとっては驚異的なことで、日本からも多くの企業が現地に視察に行き、そのノウハウを参考にしています。


サムハルが設立された背景には、スウェーデンの歴史も一役買っています。同国は、労働力の確保に苦労してきた国で、19世紀後半には、貧しさのために国民の1/4が国外に移民するという歴史があります。こうしたことから、「働ける人は可能な限り働く」という意識が国民の中に強く浸透しています。障がいを持つ人であっても、健常者と等しく収入を得て、等しく納税することが当たり前なんですね。


参考までに、日本では障がいを持つ人は一定の要件を満たせば、国が税収の中から「障害年金」を支給して生活を支援しています。いずれも障がいを持つ人を支える施策ですが、国の施策の違いは、障がいを持つ人に対する国民の意識の醸成にも影響を与えていると考えています。


さて、サムハルについて、もう一つご紹介します。同社では障がい者という括りの中には、障がいを持っている人だけでなく、移民やホームレスも含まれます。その理由の一つは、「スウェーデン語が話せないことなどが理由で、この国で生きていくのに障がいがあるから」なのです。ここには、環境が変われば誰もが不自由な状況に置かれ、誰もが障がい者になりえる、という思想が根幹にあります。別の言い方をすれば、個人個人が持つ差異には、障がいも含まれ、何も特別なことではない、ということでもあります。


ここでひとつ、私自身の体験談を紹介します。

3カ月ほど前、電車に乗るためにホームにいたところ、到着した電車に乗ろうとする視覚障がいを持つ方を見かけました。白い杖が目に入った私は、その人が電車を降りる際、すかさずその腕を支えて手助けをしようとしたのですが、その人は私の手を無言で振り払い、慣れた様子で電車を降りてホームを歩いていきました。周りに人が沢山いたので、私は少しバツの悪い思いをしました。私のとった行動は、その人にとっては、求めていない手助けだったのでしょう。


手を貸す前に、「お手伝いしましょうか?」と、声を掛けるべきでした。その人にとってみれば、いつも自分で乗り降りしていて、自分でできることは自分でやる、ということが当たり前だったのだと思います。


相手が求めているかどうかを確認せずに手助けするのは独りよがりの援助なのだ、と痛感したものです。障がいを持つ人たちと長く付き合っている自分にとって、しばらく忘れていた基本を思い出させてくれた出来事でした。


さて、障がいを持つ人との向き合い方については、偏見をなくそう、などと構えることはせずに、まずはコミュニケーションをとることから始めてみることをお勧めします。その人を特別な目で見ることなく自然に接してみると、その人の個性も見えてきます。あとは自然の成り行きに任せましょう。スウェーデン流に考えれば、自分も含めて凸凹があるので、相性の良し悪しもあるでしょう。その上でどう付き合うか、についても自然体が一番です。


ちなみに、職場などでは「配慮」と「特別扱い」は別物、ということを頭の隅っこに置いておくと、相手との関係を作る上では良いようです。「配慮」とは、本人の求めに応じて必要な手助けをすること、一方で「特別扱い」は障がいを持っているから、というだけで求めているかどうかに関係なく手を貸すこと、と言えます。そこには、たとえ、時間や手間が掛かっても「自分のことは自分でやる」というその人自身の尊厳を尊重するかしないか、の違いがあります。


近くにいる障がいを持つ人から、「代わりに〇〇してくれますか?」と遠慮せずにお願いされるようになったら、関係が一歩進んだ証拠ですね。

梶原温美 Kajihara Harumi

1987年より2016年までメーカー(日系・外資系)、コンサルティングファーム、ベンチャー企業で主に人事職として働く。2016年より株式会社小野田コミュニケーションデザイン事務所に加入、同時期に、障がい者雇用を企業側から支援する事業を開始。横浜在住歴20年超。「横浜は古さと新さの両方が違和感なく共存しているところが好き。現職の事業でカンボジアをたびたび訪れて大好きになりました!」

小野田コミュニケーションデザイン事務所

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住所:〒244-0801 神奈川県横浜市戸塚区品濃町524-13-408

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メール:​info@onodacom.co.jp


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